舞浜club IKSPIARI「monthly LIVE vol.10」

イクスピアリ外観  イクスピアリロビー  ライブフロアへと通じる入口
 会場は東京ディズニーランドのすぐ側にあるイクスピアリというショップモールの4階(最上階)にある、Club IKSPIARI。毎日のようにライブを行っているようで、カレンダーのようなポスターには多くのアーティストの名前と写真が載っており、その中にもちろん森大輔の名前もあった。宮殿をかたどった外観に美しいライトアップが施されている。中のロビーへと入っていくと、ゆったりとしたスペースに赤いソファーが幾つか置かれており、バルコニーに面した大きなガラス窓からは外の景色が広く見え、「大人がくつろぐ場所」を演出しているように見える。ライブ会場はさらにひとつドアを超えたところにあり、コンサートホールなどと同じような造りになっている。

 今回のライブは、開場時間の17:30になったら、購入したチケットに記されている整理番号順に中に入っていって、客席へと案内されるという仕組みだ。ただし席は自分で決められるので、整理番号が早いほうが自分の好きな席に座れる。ライブ会場内に入ってみると、天井からはシャンデリアがぶら下がっていたり、青いライトを受けたミラーボールが回っていたりと、これまたアダルトな雰囲気。客席後方はバーカウンター風になっているが、椅子などは置いておらず、セルフサービスというわけでもないので、客席の注文されたドリンクを作るためのキッチンのようだ。天井はとても高く、照明などは全て長い電線で天井から吊り下げられるようになっており、天井の天板や鉄骨がむき出しになっている。

 会場の広さはお馴染みになっている恵比寿switchに比べると、少なく見積もって3〜4倍はあるだろうか。前回のイクスピアリライブのときに森君が会場の様子を見て「結婚式場のようなテーブルの並べ方」と言ったそうだが、どちらかと言えば和風の宴会場の宴席のような配列で、10人掛けの長テーブルがステージに対して垂直に並んでいた。ステージから見て一列目にはその長テーブルが3卓並んでいて、2列目と3列目は、ステージ左右の壁側に設置されてあるソファを挟むようにして5卓ずつ。そしてその更に後ろには、他の客席よりも一段高くなった位置に、ソファ掛けのテーブルがステージと平行に2卓並んでいた。いわゆるVIP席のようである。会場には絶えず洋楽が流れており、ラジオ「TRUST ME」でも放送されて聴いたことのある曲が時折流れてきていたので、今回も森君の選曲のようである。

 ライブ開始(19:00)までには開場から1時間半にも及ぶ時間があったが、その時間は普通のレストランのように食事をして待てるようになっていた。私は、とりあえずは今回のライブ限定の“Our Song”というオリジナルカクテルを頼んだ。“Our Song”カクテルはメニューの説明書きをそのまま引用すると

 「ピーチツリーにレモンジュースとソーダを加えました。甘酸っぱさとシュワッとはじける泡が爽快なカクテル。アルコールが控えめなので、女性におすすめです。本日のライブ、森大輔さんの歌声のような、心地よさをお楽しみください。」

 確かにアルコールをそんなに飲まない私にも、程よい甘さで、後味もスッキリしていて飲みやすかった。逆にあまりに“Our Song”が飲みやすかったので、すぐに飲んでしまい、「緊張緩和の為にも」と、もう1杯頼んで、それを少しずつ飲みながら開演時間を待った。食事は前持って済ませていたこともあり、デザートのアイスクリームだけ頂いたのだが、周りに届けられてくる料理を見る限りでは、とても美味しそうで、見た目にも趣向が凝らされていたように思う。本格的なレストランと変わらない値段が設定されているだけのことはあり、ラインナップもとても豪華だった(メニューの写真)。

<第一部>

 開演時間である19時からから10分ほど過ぎたころ、ようやく照明が落とされて、会場に流れていた音楽も止まった。バンドメンバーの登場だ。いつもの顔ぶれに混じって、まだ一度も見たことがない方が、ギターを抱えて準備をし始めた。ギターは当然のように福原さんだと思っていたのだが、どうやら今回は新しいギタリストの方が呼ばれたようである。メンバーが全員スタンバイを終了すると、森君が拍手に迎えられて登場した。濃いグリーンの細かいストライプが入ったボタンシャツに、薄茶色のパンツ、靴底のゴム部分に赤いラインが入った白い布地のシューズといった服装。メガネはブログで数日前に、札幌にてずっと欲しかった透明フレーム眼鏡を購入したという日記があったので、もしかして? と思ったが、いつもの黒縁メガネで少し残念。メンバーは左からヤウさん(Cho)、松浦基悦さん(Key&Cho)、森君(Pf&Vo)、岡雄三さん(Ba)、ジョージさん(Dr)、大西雄介さん(G)、といった並び。

 ピアノの前に座った森君が、ジョージさんに笑顔で合図を送ると共に始まったのはSilver Shadow。森君を含むバンドメンバー全員が、「1曲目にこの曲がくるとテンションがあがる」といっている曲だ。ただ、私の座っていた場所のせいかもしれないが、コーラス二人の声の音がいつもより大きくて驚いた。そういったところが少し気になって脳裏をよぎったが、何しろ4ヶ月ぶりのライブなので、すぐに舞台そのものに集中力が戻って、気にならなくなってしまった。途中、急に曲の雰囲気が変わったな、と思ったらKeep movin' onのイントロが松浦さんシンセで入ってきた。格好いい! (歌入りとしての)一曲目とは思えないテンションで、フェイクも力強く唄い切った。

 曲が終わると、二曲分の盛大な拍手が湧き上がる。ここで軽く森君が自己紹介。そして早速、次の曲の説明へと入る。「ご存知の方もいるかもしれませんが」ということで、三曲目はカバー曲で、The Style CouncilのMy Ever Changing Moods。曲が始まると、ヤウさんが笑顔で客席に手拍子を促し、客席からも手拍子が起きていく。確かに手拍子があった方が盛り上がりそうな、とても聴きやすいポップで軽快なナンバーだった。

 曲が終わってMC。森君自身もこの「My Ever Changing Moods」が学生の頃からずっと好きだったそうで、この編成でやれば楽しいんじゃないかな、と思ったそう。「ちなみにディズニーランドに行って遊んで、このライブに来た方は?」と森君が会場に問いかけると、3〜4人だけしか手を挙げなかったので、「ということは、わざわざ僕のライブのためだけに来て下さったんですね?」と言うと、客席から「そうです!」と言わんばかりの拍手が起きていた。リハーサル前には森君もイクスピアリ内を散策したとのことだが、ディズニーランドに行かずとも、イクスピアリだけでも店が沢山並んでいて、ディズニーランドの雰囲気も感じられて、十分に遊びに来る値打ちがある場所だった。

 そんな話をしてるうちに、「ちょっと汗拭きますね」と森君がタオルで汗を拭き出したのだが、「水色のハンカチ用意しといてって頼んだのに…(苦笑)」と、この夏、全国を沸かせたハンカチ王子こと早稲田実業の斉藤君の真似をしようとしていたことをバラすと、一気に会場が笑いに包まれた。いつもなら2〜3曲が終わったあたりで眼鏡を外すことが多かった森君だが、それは汗をかくと必ず眼鏡がズレることが原因だったそうで、札幌で透明フレーム眼鏡を購入した際に、「頭痛がひどくて困ってる」と相談したところ、耳に掛ける部分を調整してくれたらしく、おかげでこれからライブで眼鏡を外すことも無くなりそう、という裏話をしていた。その時に買った新しい眼鏡は、まだ手元に届いてなかったそうで、今回は以前から使っている眼鏡での出演、ということになったとのことである。

 4曲目「一度だけ」。アルバム音源と同じイントロで始まる。情緒たっぷりに歌い上げ、2人のコーラスとのハーモニーもとてもいい。今回のライブでは全体を通して、ヤウさんと松浦さんのコーラスワークの魅力を感じれる場面が多かった気がする。

 次にピアノで聴いたことのないイントロが始まり、「何の曲だろう?」と思っていたら、聞き覚えのあるリズムが入り、「123」がはじまった! 森君自身、「ライブでの再現は難しい」とのようなことを言っていた曲でもあり、全く聴けると思っていなかったので、とても嬉しかった。実際に生編成での音を聴いてみると、とてもライブ向きで盛り上がる曲だと思った。ふと気付いたのだが、この曲のあたりから、森君が客席をよく見るように歌いだしていた。曲のラストで、森君の「123!」という声がリフレインされながら、フェードアウトしていいく終わり方もとても良かった。

 すぐに6曲目「Rain」へ。いつもはリズム音やギターが曲の雰囲気をリードすることが多いのだが、今回はいつもと違い松浦さんのエレクトリックピアノがとてもよく聴こえた。松浦さんのエレピが軽やかに纏わり付くように響くのが心地良かった。ライブの終盤で聴く機会の多かった曲だった為に、「これで終わり」の雰囲気を感じずにはいられなかったが、今回は二部構成ということもあり、まるでこの後にアンコールを何曲もしてくれるかのような、とても贅沢に感じれる選曲だった。

 MC。今回のライブのために作られたオリジナルカクテル“Our Song”の味について、メニューに書いてある文章を引用して「何て書いてましたっけ? 森さんの声のように居心地の良い…、居心地じゃない!」とまた客席の笑いを誘う。そして、ここでメンバー紹介。その後、メンバーが静かに会場から退出していく。「何が始まるのかな?」と思って見ていたら、次の曲はピアノの弾き語りで披露してくれるという。

 そして始まった曲は7曲目「still」。ラジオなどでは何度か森君の弾き語りを聴いていたので、「ライブでも弾き語りを聴いてみたいなぁ」と思っていたら、それが最も弾き語りに合いそうな「still」ということで、とても嬉しかった。まさしく弾き語りっぽい長めアレンジのイントロで客席を惹きつけることによって、ピアノと森君だけの世界に持っていくあたりが森君のすごいところである。ラジオでのスタジオライブなどでは大抵、キーボードによる弾き語りなのだが、グランドピアノでの弾き語りとなると、森君が一人のピアニストでもあることを十分に実感できる。曲を終えると、「ありがとうございました」と客席に一礼し、しっとりと第1部は終わった。

<第二部>

 20分ほどの休憩の後、メンバーと共に森君が再登場。ヤウさんがステージ上にいないのに気付いて「コーラスはいらない曲なのかな?」と思っていたら、第二部の一曲目はインスト曲だった。

 8曲目、Stivie Wonderの「Don't You Worry 'Bout a Thing」のインストアレンジ。後に、原曲の入ったアルバムを購入して聴いてみたが、確かに歌までカヴァーするのは難しそうな曲で、普通ならば候補曲にすら入れなさそうなのだが、それをインスト曲としてアレンジしてしまう貪欲さに、森君のスティービー・ワンダーへの傾倒を強く感じた。

 そして9曲目は、マンスリーライブでは初披露ではないとはいえ、私にとっては新曲の「My Favorite Shoes」。ヤウさんが舞台袖から出てきて、「My Ever Changing Moods」のときのように手拍子を促す。でもこの曲は手拍子を促されずとも、自然に全身でリズムを取ってしまいそうになる曲だった。新しい靴を買って貰って喜んでいる女の子が、地面を蹴るように歩いているイメージが湧き上がってくる、フラニーズ・フィートにピッタリのとても可愛らしい曲だ。

 MC。新曲「My Favorite Shoes」についての話で、アニメ「フラニーズ・フィート」で初めてアフレコに挑戦したという話を聞かせてくれた。アフレコ用のスタジオは、曲を録音するためのスタジオとは造りからして違うらしく、「右も左も分からない状態」だったとのこと。主役のフラニーの声を担当している、宮崎あおいさんにもお会いしたそうで、「非常にお美しい方だなぁ…」と思いながら、ただただ見ていたそう(笑) 肝心の森君のアフレコだが、わずか2行くらいの台詞に「全身全霊を込めて!」臨んだそうで、リハーサルでは「初めてやっとは思えないですよ」と褒められたのに、いざ本番になると緊張して、その2行を間を開けずに言ってしまったらしく、スタッフの方に「後で(編集段階で)離しておきます」と言われたそうである(笑)

 そして次の曲は「マンスリーライブならではのスペシャルな曲」という紹介で、未発表曲かつ、リリース予定もまだない曲だそうだ。ただ、今までに何度も収録候補には上がっている曲らしく、森君自身も気に入っている曲なので、いつかリリースされる可能性もある曲とのこと。

 10曲目「君がいる」。「メロディに合わない言葉は載せない」というこだわりを持つ森君の言葉を借りれば、十分に曲との一体感があったので、歌詞はもう出来上がってるよう。冬の肌寒い夜をイメージさせるラブバラードだが、タイトルにもなっている歌詞の入る特徴的なサビで急に暖かさを感じるような曲だった。

 11曲目「Lovin' You」。この曲になると、いつもヤウさんがニコニコしながら歌っているような気がする。私もそれにつられて、つい一緒に口づさみたくなる。森君の声も、喉も緊張も完全にほぐれてきたという感じで、すごく通ってて良かった。ただドラムのハイハットの音が目立ちすぎていて、シャカシャカとした感じが強く、そこだけが少し残念だった。

 MC。森君の近況報告として、レコーディングやそれに伴う作業を日々行っているそうで、秋にリリース予定のシングルの制作に励んでいるとのこと。ライブ会場のロビーで森くん関連グッズが置いてあるので、森君が「ぜひご覧になって帰ってください」と告知をしてくれたのだが、その「帰ってください」という言葉が引っかかったらしく、「最後の一言が、“帰ってください”というのは無礼なんじゃないかな…。そんなことないんでしょうけどね」と森君一人で色々と反省をしていて、客席からもその森君の不思議な感覚に対して苦笑いが起きていた。

 12曲目「moonlight」。イントロがピアノソロで始まる、ニューアレンジ。前もって「次の曲は『moonlight』です」と教えてくれていなければ、何の曲が始まったのか絶対に分からない(笑) このイントロクイズ的な音遊びも、森君のライブの大きな楽しみのひとつである。今回のライブでは、終始コーラスの音量がいつもより大きく、エコーも強めだったのだが、曲によってはそれが効果的に聴こえる場合もあれば、そうでない場合もあり、上手く調整して欲しかったなぁ、と思った。

 「moonlight」が終わり、拍手が鳴り止むと、公式サイトを開く度に流れる、あのイントロが聴こえてくる! 13曲目は「Our Song」 何の説明もなく、イントロを一瞬聴いただけで何の曲か分かるのもやっぱり嬉しい(笑) 客席の盛り上がりが周りを見ずとも、会場の空気だけで伝わってくる感じがする。曲の後半で、それぞれのバンドパートのソロメドレーが入る。まずはドラム、そしてベース、シンセサイザー、ギターソロという順。そこからラストのサビへと続き、いつもなら終わりになるところから、フリージャズっぽい感じになり、そこから再度、もう一度「Our Song」が始まるかのような森君のピアノソロによる伴奏が始まる。それがどんどんテンポアップしながら転調を繰り返し、「どこまで早くなるの!?」と思うところまでいったところで、14曲目の「TRUST ME」へと繋がっていった。

 「♪I'll Show You〜」と入るまでのシンセのアレンジがとても格好よく、松浦さんの独壇場だ。曲が終わると、森君はもう一度だけ簡単にメンバー紹介をして、「どうもありがとうございました」と客席にお礼を言い、拍手に送られながら舞台袖へと消えていった。森君を見送る拍手はやがて、力強いアンコールの手拍子へと変わっていく。その期待を裏切ることなく、やがてバンドメンバーを先頭に、ステージへと森君が戻ってくる。「ありがとうございます。汗だけ拭いてきました(笑)」という言葉に笑いが起きる。「睫毛に汗のしずくが見えてたくらいで(笑)」と言って笑っていたが、本当にすごい汗だった。決して会場自体が暑いわけでもなかったのだが、恵比寿switchに比べると圧倒的に多いステージライトが、ステージの温度をいつにも増して上昇させていたのだろう。とはいえ、全身でピアノを演奏し、唄い続ける森君のその流れる汗は、私の目からは清潔感に溢れていて、とても清々しかった。

 アンコール「ふれられない場所」。私が以前に参加したマンスリーライブで聴いた、映画に採用されたエンディングVer.とは、また少し違うオリジナルVer.があると知ってから、是非もう一度改めて聴きたかった曲だ。今回のライブで演奏してくれた、オリジナルVer.の方が、全体を通してドラマティックな盛り上がりがあり、こちらのほうが私は好きなアレンジだった。

 いつものように「ありがとうございました」とだけ言い残して、余計なことを一切語らずに舞台から消えていく森君。曲を演じ切ることこそが自分自身の最高のパフォーマンスであることを、最後の最後に示すかのように静かに立ち去っていく姿には、森君の音楽にかける情熱を感じずにはいられなかった。

 ライブ終演後、「My Favorite Shoes」の音源が会場に流され、それを聴きながらの退場となった。ただ普通のライブ会場とは違い、レストランも兼ねているため、店員が退出を促すようなことはなく、ラストオーダーは終了しているとはいえ、食事を終えるまでそのまま席に着いてる人もあれば、すぐに会場を出る人など様々で、落ち着いてライブの余韻に浸ることが出来た。ライブ開始前に飲んだ2杯のカクテルの酔いは、まるでライブの終わりを伝えるかのように、いつのまにか体から消えていた。

レポート / レイ

 セットリスト

 〜第一部〜
1、「Silver Shadow」
2、「Keep movin' on」
3、「My Ever Changing Moods」※The Style Councilのカヴァー
4、「一度だけ」
5、「123」
6、「Rain」
7、「still」※ピアノのみでの弾き語り

 〜第二部〜
8、「Dont You Worry 'Bout a Thing」 ※Stivie Wonderのインストアレンジのカヴァー
9、「My Favorite Shoes」
10、「君がいる」※初披露の未発表曲
11、「Lovin' You」
12、「moonlight」
13、「Our Song」
14、「TRUST ME」
15、「ふれられない場所」(アンコール)